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2023.06.23
事例紹介ショッピングモールなど商業施設におけるデータ活用事例
ショッピングモールや商業施設などの会員カードを運用する企業のマーケティング担当者の方で、「顧客データや顧客ごとの購買のデータは取得されているがうまく活用できていない」「総花的な施策や購入金額が上位の顧客にのみアプローチする施策ではなく、データに基づいた施策やアクションを実施したい」といった悩みはありませんか。この記事では都心にある商業施設のポイントカード履歴を活用したデータ活用の事例を具体的に説明します。

顧客管理や商品発送のために様々なデータは取得できているが分析や活用の方法を知りたい。商業施設でのデータを活用した具体的に知りたいという方は是非参考にしてみてください。
この記事でわかること
商業施設のデータを初めて活用する際のステップとポイントを簡単にまとめます。
・データを活用する目的や課題を意識して、分析の視点を決めることが重要です。
目次
商業施設やショッピングモールにおけるデータ活用とは
顧客の来店や購買行動データを収集・分析し、得られた結果をもとにマーケティング戦略の最適化や、サービス改善などをすることを指します。データを活用することで、店舗の売上向上や顧客満足度の向上に寄与することを目指します。
具体的には、来店顧客の性別や年齢などのデモグラフィックデータや店内での動線、利用時間、購買行動などを収集し顧客分析を行います。また、これらのデータを商品配置、プロモーションの企画、営業時間の設定など、直接の運営改善に活かすことが可能です。
商業施設やショッピングモールでのデータ分析事例の紹介
今回は都心にある女性向けの商業施設のポイントカードの分析・活用事例をご紹介します。この商業施設のポイントカードは利用金額に応じてポイントがたまる仕組みで、テナント毎の利用金額がデータとして記録されます。
弊社でご支援したケースになりますが、データは多少加工を加えたダミーデータとなることをご了承ください。
データ分析の課題と目的
この商業施設ではポイントカードのデータをダイレクトメールの発送や売上管理のために利用され、マーケティングには活用されていない状況でした。データ活用前のマーケティング施策は、すべての会員に一律のアプローチをする総花的な施策や、売上上位の顧客にのみダイレクトメールを送る、直近で利用があった顧客にのみアプローチをしていました。
この様な機械的なマーケティングからデータを活用した高効率・高精度の施策を行うことが目的でした。また、データを活用することで客観的な事実をもとに意思決定を行うという、データを活用する風土の醸成も目指していました。
データ分析のプロセス
今回の対象となるデータは次のような項目を持っています。
データベースに格納されるデータは1つのテーブルで済むことは稀で、複数のテーブルを紐付けて運用されていることがほとんどです。今回は1のテーブルを扱うのではなく2つのテーブル(購買履歴と会員マスタ)を扱う例をご紹介します。
それぞれのデータのイメージは以下の通りです。
● 会員ID
● 取引日時
● 取引No
● 購入金額
● ポイント履歴
● 店舗名

● 会員ID
● 会員状態
● 郵便番号
● 地域区分
● 性別
● 入会日
● 年齢

実際のデータを見てわかるように、購買履歴のデータは会員IDごとに複数のレコードが発生します。
これはデータの意味を考えればわかる通り、同じ人が何度も買物をしていることを意味しています。
一方で、会員マスタは性別や年齢といった会員の属性などが記録され、IDごとに1レコード発生します。
データの概要が分かったところで、今回のデータを分析するポイントは分析の視点を決めることです。
例えば次のような集計の視点が考えられ、データ分析により解決したい目的や課題に応じて分析の視点を変更することが重要です。
①人単位での視点:性別、年代、居住地や、特定の期間(例えば直近1年間など)における顧客1人の購入金額や購入回数の合計など人ごとに集計や分析を行う
②取引単位:人×時間(ある人が同じ日に購入したものや金額)や、人×会計単位(1度の会計で一緒に購入したものや金額)で集計や分析を行う
例えば、データを活用して解決したい課題が「顧客理解」だとしたら①の人単位での視点で分析を行い、顧客の特徴を捉えることで解決につながります。一方で、「ついで買いの増加」「顧客単価の向上」などが課題の場合は②の取引単位での分析が有効となるでしょう。
この事例では、データの活用自体が初めてで顧客特徴の理解を目的としていたため、①の人単位での視点の分析を行いました。この記事でも①の人単位での分析の事例をご紹介します。
次の章では人単位の集計の結果からファインディングスを明らかにしていきます。
データ分析から見えてくるファインディングス
集計の結果から、顧客の全体像を明らかにしていきましょう。
集計結果を確認する前に、今回の集計作業の工程を簡単に説明します。
まず、性別、年代、居住地、入会日といった会員マスタのデータは件数をカウントして%のデータに集計すれば対応が可能です。購買履歴のデータについては、人ごと(会員ごとに)直近購入日や直近1年の購入回数や購入金額の合計(会員Aさんの購入回数は〇回、Bさんは△回)をデータから作成します。
人ごとに作成したデータから直近1年の購入回数が1回の人が〇%、2回の人が△%といったかたちで集計するといった工程を踏むことになります。



①~③は集計結果から読取ったファインディングスになります。
96.8%が女性という具体的な比率がはっきりとしました。
年代は40~50代がボリュームゾーンでこの2つの年代で約半数を占めることが分かります。
60代、70代以上もある程度ボリュームがあり40~50代とあわせると7割以上となり年齢が
高めの層がターゲットとなります。
居住地は東京23区が約半数、多摩地方や神奈川県、千葉県、埼玉県が残りの半分となります。
データ取得時点から3年前の2017年前半から2016年後半の期間に会員数が2%強
減っていることが分かります。
また、直近購入日を見ると、直近1年以内(2019年)に購入した人は75%です。
残りの25%である直近1年以前(2018年12月以前)の購入者は各月1~2%と大きな変化はない
ため、直近1年に来店・購入がない場合、以後の来店の可能性が低いと想定されます。
4回以内で約半数をしめる。
直近1年での購入金額は、5,000円~150,000円と500,000円~100,000円が
ボリュームゾーンです。
高額の商品を購入する層と低価格な消費をする層がいることが想像できます。
平均で63,000円、中央値で31,000円程度となります。
このように、非常に基本的なデータ分析の例ですが、複数のファインディングスが見つかりました。このファインディングスから具体的な施策やアクションを考えてみましょう。
次のパートで具体的に説明をしていきます。
データ分析のファインディングスを活用したマーケティング施策の考え方
上記の分析結果をもとに、以下のような施策を考えてみました。
①~③のそれぞれのファインディングスから施策やアクションのアイデアを考えてみましょう。
キャンペーンは高齢層が接するメディアを活用することが有効と考えられます。
TikTokといった若者が多いものよりはDMや新聞、雑誌、などの紙媒体がいいかもしれません。
ただ、40~50代についてはFacebookやInstagramといったSNSは有効と考えられます。
DMやメールなどを配信し保有ポイントの活用促進を促すアプローチが考えられます。
また、1年以上来店のないユーザーの来店のきっかけづくりのために、来店プレゼントや
ファッション業界やビューティー業界の著名人を招いたイベントを実施するなど来店を
喚起する施策を行うと良いでしょう。
他にも顧客が購入するごとにポイントが獲得でき、一定ポイントを達成すると特別な割引や
ギフトを受け取れるロイヤルティプログラムを設けることで、リピート購入や客単価アップを 狙う施策も良いでしょう。
ロイヤルティプログラムのような施策は、商業施設へのロイヤリティを高めることも
期待できます。

まとめ
この記事では、都心にある商業施設のデータ分析の基本的な方法と、その結果からの施策の考え方を紹介しました。簡単な集計の結果ですが、そこからわかることや施策に繋げる実感を持ってもらえると幸いです。
すでに取得しているデータをマーケティング施策に活用すると、これまでの勘や経験に頼るよりも効果的な施策が実施可能です。
ぜひ、簡単な分析から始めてみてはいかがでしょうか。
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ショッピングモールや商業施設における顧客データ活用事例はいかがでしたでしょうか?
分析のプロセスやファインディングス、施策への活かし方までご説明をさせていただきました。ただし、実際に実践をしてみようとすると、ご自身のスキルや会社のリソースだけでは難しいというご意見もあるかと思います。
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