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2023.09.08

データ利活用

顧客セグメンテーション成功事例【SCのクラスター分析】

データ分析は重要な戦略的ツールとなっています。特に、顧客データの分析は企業が顧客の行動や嗜好を理解し、より効果的なマーケティング戦略を策定するための鍵となります。

この記事では、都市中心部に位置するショッピングモールの会員データを基に実施した、クラスター分析による顧客セグメンテーションの成功事例を具体的にご紹介します。このようなデータ分析を通じて、ショッピングモールはどのように顧客の行動を理解し、それをビジネスの成功につなげたのかを詳しく解説します。

・データ分析に興味がある方
・自社の顧客データをより有効に活用したいと考えている方
・データ分析のアウトソースを検討している方

上記に当てはまる方にとって、役立つ情報をお届けします。

クラスター分析と顧客セグメンテーションとは

クラスター分析の定義と目的

クラスター分析とは

クラスター分析とは、大量のデータから似た特徴を持つもの同士を集め、グループ化する統計的分析手法です。この手法を用いることで、データの中に存在するデータの組合せやパターンを明らかにすることが可能です。

今回のショッピングモールの会員データの場合、購買の傾向が似ている顧客をいくつかのグループとしてまとめます。さらに具体的な応用例として、メディア接触のクラスター分析を考慮してみましょう。この分析により、

・TVや新聞、雑誌などの伝統的メディアを主に利用するグループ
・YouTubeやInstagram、TikTokといった視覚メディアを頻繁に活用するグループ
・TwitterやWebニュースアプリなどのテキストベースのWebメディアを用いるグループ

上記のような形で、顧客をセグメント化することが可能です。

クラスター分析の目的

クラスター分析の主な目的は、似た特徴を持つ顧客をグルーピングすることで各グループの顧客特性を理解しやすくすることです。さらに、各グループの規模を把握することで、特定の特性を持つ顧客のボリュームを明らかにすることが可能となります。これらの情報は、企業がより効果的なマーケティング戦略を策定するための重要な基盤となります。

具体的には、特定の商品を頻繁に購入する顧客グループが存在する場合、その商品に関連するプロモーションを提供することで、さらなる購入を促すことができます。また、その商品以外の関連商品を推奨することで、顧客の購買範囲を広げ、売上を増加させることも可能です。

具体的な分析手法

使用したデータの説明

今回の分析対象は、都心部に位置する女性向け商業施設のポイントカードデータです。このデータには、過去1年間における各店舗での利用回数と利用金額が含まれています。
ただし、今回の目的は特定の店舗の傾向を調査するのではなく、顧客がショッピングモール内のどのような店舗カテゴリーを主に利用しているかを把握するため、各店舗の単独の利用回数ではなく、店舗カテゴリー全体の利用回数を基に分析を実施します。
ダミーのデータとなりますが、データのイメージは下記の通りです。

顧客データの一覧
●会員ID
●年齢
●性別
●居住地
●職業
購買履歴データの一覧
●会員ID
●店舗カテゴリー別の利用回数
●店舗カテゴリー別の利用金額

分析手法の詳細

このデータセットを用いて、k-means法によるクラスター分析を実施しました。k-means法を選択した主な理由は二つあります。一つ目は、大量のデータでも効率的にクラスタリングが行える点です。二つ目は、今回の分析結果が新規顧客にも容易に適用できるという利点です。
例えば、ある店舗での購入履歴に基づき、顧客を「スポーツ好き」と「家電好き」の二つのグループに分類した場合、新規顧客もその購入傾向からどちらのグループに属するかを迅速に判断できます。

分析結果とその活用

分析結果の概要

ここからは実際にデータを分析した結果を確認していきます。

直近1年における店舗カテゴリー別の購買データを用い、傾向が似ている顧客同士をグルーピングしたところ、次の5グループに分かれました。

CL1:飲食・カフェ・雑貨・書籍の購入が多いグループ。この層の構成比は全体の1.9%
CL2:キャラクターの劇場がモールの隣にあるため、劇場帰りにキャラクターショップを頻繁に使うグループ。この層の構成比は全体の9.2%
CL3:婦人服飾・服飾関連その他の店舗を良く利用するグループ。この層の構成比は全体の6.4%
CL4:ビューティ関連の利用が多いグループ。この層の構成比は全体の2.7%
CL5:特定の店舗での利用が少ないグループ。この層の構成比は全体の79.8%

各クラスターのデモグラフィック属性

続いて、クラスターごとの性別や年代、居住地を確認します。

CL1:性別に関しては、女性が約90%と大多数を占めていますが、このクラスターでは男性も8.8%と一定の割合を有しています。これは他のクラスターと比較して注目すべき点です。
平均年齢は45.7歳で、CL2クラスターと並び、全クラスター中で2番目に若い年齢層です。さらに、居住地域においては、東京23区が58%とこのクラスターで最も多い地域となっています。

CL2:CL2以降の性別比率は女性が98%以上と大半を占めます。年代を見ると30代、40代がボリュームゾーンです。居住地域は埼玉、神奈川、その他関東など他に比べて多く、遠方からの来店がみられます。

CL3:年代を見ると、50代・60代のボリュームが多く平均年齢が53.1歳と最も高いです。居住エリアは平均的で目立った特徴は見られません。

CL4:30代・40代の比率が多く平均年齢が最も若いCLです。居住地を見るとCL1について東京23区の比率が多く、都内近郊のやや若めの女性が中心のクラスターと言えそうです。

CL5:こちらは目立った特徴がなく、平均的なクラスターです。

各クラスターの購買実態

最後に、クラスター別に購買実態を確認します。顧客の中には、回数、金額が非常に多い人が含まれるため、平均値とあわせて中央値をグラフ化しています。

CL1:購入回数が非常に多く、購入金額の平均値・中央値はいずれもクラスターの中で上位です。
一方、平均客単価は最も低く、服飾や宝飾品などに比べて単価の低い飲食・カフェ・雑貨・書籍の利用が多い点の特徴が出ています。

CL2:購入回数の頻度については、CL1に比べるとやや水準は下がりますが2番目に多いです。キャラクターショップがメインのクラスターのため、1回あたりの単価は4~5,000円程度と少なく、直近1年の購入金額は8~11万程度の中程度の消費をするクラスターです。

CL3:購入回数は10~15回程度で2番目に少ないです。ただ、婦人服飾・服飾関連その他を多く利用するため単価が1~2万円を超えクラスターの中で最も高いため、購入金額はCL2と同水準となっています。

CL4:購入金額が20回強と比較的多く単価も1万円前後とやや高めです。結果として購入金額は10万円を超えて上位の額となっています。

CL5:購入回数は10回未満と少ないものの、単価は8,000~18,000円と高めです。
加えて、中央値が8,264円、平均値が18,443円と差が比較的大きいため、顧客によって購入金額にばらつきが大きい/高額のユーザーが多数いるといったことも考えられます。購入金額は購入回数が少ないこともあり2万~4万円とCLの中で最も少なくなります。
(今回のデータでは扱いませんでしたが、会員になってから日が浅いお客様が多いことがわかりました。)

分析結果のまとめ

分析結果を1枚にまとめると上記の様なポジショニングに整理できます。

●飲食やカフェ雑貨などをメインに利用するCL1やキャラクターショップメインのCL2客単価が低く利用回数が多い。
CL3やCL4は比較的単価が高く利用回数はCL1・2に比べると少な目。
CL5は客単価が平均的で利用回数が少ないため、今後ロイヤリティをアップさせたいグループ。

このように顧客をグルーピング・マッピングすることで、今後のマーケティング施策が考えやすくなります。

続いて、この結果を活かして具体的なマーケティング施策を紹介します。

分析結果の具体的な活用例

このパートではクラスターごとに具体的な施策アイデアを紹介します。

CL1をターゲットとした施策アイデア

◆男性向けのプロモーション◆

●男性限定のボリューミーなフードメニューを提供し、そのメニューの購入者限定で衣料品店やアウトドア用品の割引やクーポンを提供
・・・男性に対して魅力的な飲食のメニューを提供するのと同時に男性向けの商品の購買を促し、普段飲食が中心の顧客の単価アップ・併売を狙います。
◆女性向けのプロモーション◆

●ランチ&ビューティセットメニューの提供
・・・ランチ利用後、ビューティショップでの特典を受けられるセットメニューを導入します。
特典内容としては、ミニマッサージ、メイクアップリタッチ、サンプル商品の提供などが考えられます。

●リラクゼーションスペースの設置
・・・ランチ後に短時間でリラックスできるスペースを提供します。
このスペースでは、ビューティ系ショップの商品を活用したアロマの香りやリフレッシュできる音楽を流し来店者に心地よい時間を提供します。この施策を通じて、ビューティ系ショップの認知向上や利用促進を目指します。

CL2をターゲットとした施策アイデア

◆劇場チケット提示割引◆
・・・劇場のチケットを提示することで、キャラクターショップ以外の店舗での購入が割引になるキャンペーンを行い他の店舗の利用を促進します。

◆劇場チケット提示割引◆
・・・購入回数に応じて、リピートポイントを付与する制度を導入。顧客のリピート購入を喚起し、長期的な来店を促進します。特に、東京23区以外の居住者に対して、特別ポイントを付与するキャンペーンを実施。遠方からの来店をより魅力的にすることでリピート来店を促進します。

CL3をターゲットとした施策アイデア

◆高購入金額層向けの特別サービス◆
・・・CL3の中でも特に購入金額が多い層を対象に専門のスタイリストを店内に配置します。
顧客のニーズに合わせたコーディネートアドバイスを提供し、特別感を演出します。さらに、新商品の先行販売イベントへの招待などの特典を提供することで高額消費者のロイヤリティアップを狙います。

◆季節ごとのカタログ配布◆
・・・季節ごとの新商品やトレンドをまとめたカタログを作成します。
このカタログを店舗で配布するとともに、会員の自宅へ郵送します。これにより、来店や購入回数の増加を促進します。

CL4をターゲットとした施策アイデア

◆飲食店とのコラボレーション◆
・・・ビューティ商品の購入者に向けて、健康や美容を意識した限定メニューを提供する飲食店とのコラボレーションし、美容と健康を同時に意識した食事体験を提供します。

◆ビューティ&飲食ポイントプログラム◆
・・・ビューティ系ショップと飲食店の同時利用時に、購入金額に応じてポイントを付与。
特定のポイントを達成すると、ビューティエキスパートによる特別イベントへの参加資格や、ビューティ系ショップでの限定ハイスペック施術を受ける機会を提供します。

CL5をターゲットとした施策アイデア

◆入会後セカンドビジット特典◆
・・・新会員の2回目の来店を奨励するための特典を提供します。具体的には、
・全店舗共通で使用できる10%オフクーポンを2回目の来店時に提供。
・特定の店舗での無料ドリンクやデザートサービス

を実施します。

◆会員継続特典プログラム◆
・・・会員の継続利用を奨励するための特典を段階的に提供します。
・3ヶ月継続した会員には、特定の店舗で使用できる20%オフクーポンを提供。
・6ヶ月継続した会員には、ショッピングモールのギフトカード(金額5,000円分)をプレゼント。


◆ターゲット別カスタマイズ施策◆
・・・会員の年代、属性、利用店舗の特徴を基に、これまでのクラスター施策から最適なものを選定して実施します。既存の顧客をより深く理解し、効果的にナーチャリングしていきます。

まとめ

この記事では、都心にある商業施設のデータからクラスター分析という手法を用いて顧客のセグメンテーションと、その結果から施策アイデアを紹介しました。
以前のクロス集計だけの分析に比べて、ターゲットの特徴が理解しやすく、詳細に把握できると思います。具体的な顧客像が思い浮かぶため、これまで勘や経験で企画・実施していた施策からデータをエビデンスとした施策が考えやすくなると思います。また、施策の効果も向上する可能性が高まります。

クラスター分析という少し難しい方法になりますが、可能な方は始めてみてはいかがでしょうか。

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