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2023.08.23

データ利活用

顧客データを活用したメルマガ効果検証

メルマガやLINEなどを運用するアプローチをされている中で、「開封率やURLのクリック率は検証しているが、売上や来店など行動に繋がらない」といったお悩みはございませんか?

この記事では、顧客データや行動データを組み合わせて、メールマガジンの効果検証を行った事例を前編・後編に分けて説明します。

「メルマガの開封、クリックだけでなく顧客まで詳細に検証・分析したい。」
「メルマガの効果を出すために、効果を詳細に分析したい。」
「メルマガの開封・クリックといったデータに対し、顧客データや行動データをどのように活用すればよいか知りたい。」

という方は是非参考にしてみてください。

メールマガジンの効果検証とは

通常のメールマガジンの効果検証


一般的なメールマガジンの効果検証とは、
メールマガジンの配信が、目標達成にどれだけ寄与しているかを評価することです。

具体的には、開封率クリック率コンバージョン率などの指標を用いて、
配信内容の魅力度やターゲットユーザーへの適合度合いを把握します。

さらに、A/Bテストを行い、 コンテンツやデザインなどとユーザーの反応を検証します。

通常のメールマガジン効果検証における限界

メールマガジンの開封率やクリック率、コンバージョン率などの効果検証には限界が存在します。

●顧客をセグメント化し特性に合わせたメールを配信しても、メールマガジンへの反応は個々の顧客により大きく異なります。

●顧客の個々の特性や状況、ニーズなどによって影響を受けるため、開封率やクリック率だけを見ていても個々の状況や特性まで詳細に検証することは難しいです。

●また、コンバージョン率が高かったとしても、それがどのような特性の顧客に響いたのかを具体的に把握することは困難です。

上記の要因を把握することで、次回のアクションにつなげやすくなります。

分析の特徴と検証メリット

メールマガジン以外のデータを活用した分析スキーム

今回の事例をはじめ、弊社ではメールマガジンの開封ログやクリックログのデータをお預かりし、メールマガジンの効果検証を行っています。
メール以外にも保有するデータが豊富なお客様の場合、顧客の性別や年齢、居住地などの顧客データ、購買履歴などの行動履歴をお預かりし、メールのログデータとそれらのデータを組合せて効果検証を行います。

データ統合による効果検証のメリット

この様にメールのログデータとデモグラ情報や行動データを紐づけて効果検証することで、より詳細な分析が可能になります。
具体的には、メールの内容や配信タイミング、ターゲットの属性や行動など、開封やクリックなどに繋がる様々な要素を特定することが可能です。
これにより、メールマーケティングの効果を向上することができ、単なる指標の追跡を超えた真の顧客理解とエンゲージメント向上につながります。

スポーツチームのメルマガ効果検証事例

データ分析の課題と目的

今回は、スポーツチームがチケットの購入や試合への来場を促進するためのメールマガジンの効果を検証する事例をご紹介します。

このチームでは、開封率やクリック率だけではメールマガジンの具体的な効果を把握することが難しいという課題が存在していました。
さらに、メールマガジンの内容や配信対象となるターゲットなど、メールの効果に影響を与える要素を明確に理解できていなかったため、メールの内容やターゲット設定などのPDCAサイクルがうまく機能していませんでした。

この問題に対処するためにデータ分析を活用し、メールへのユーザーの反応(開封、クリックなど)、ユーザーの属性、試合への来場回数などを詳細に分析します。
その結果をもとに、来場や購買を促進するためのメールマーケティング戦略を策定することを目指します。


※弊社でご支援したケースになりますが、データは多少加工を加えたダミーデータとなることをご了承ください。

データ分析のプロセス

今回の分析に利用するデータは次の3つです。

・メールマガジンログデータ:メールマガジンの開封、クリック等のログ
・顧客マスターデータ:性別や年齢、居住地などのデモグラフィック情報
・行動ログデータ:顧客の購買履歴や来店履歴、来場履歴などの行動データ

顧客マスターデータに対して、メールマガジンのログデータ、行動ログデータの3つを 紐付け、分析を行う方針です。これにより、メール、顧客マスタ、行動ログのデータを串刺しにして分析することが可能です。

それぞれのデータのイメージは以下の通りです。

メールマガジンログデータ
● 会員ID
● 送信日時
● メール内容
● 開封日時
● クリックURL
● クリック日時

※画像をクリックすると拡大してご確認いただけます
顧客マスターデータ
● 会員ID
● メールアドレス
● 年齢
● 性別
● 居住都市
● 会員種別
● シーズンシート保有
● 会員歴
● 希望座席エリア
行動ログデータ
● 会員ID
● 試合日
● 対戦相手
● チケット種別
● 購入日

これらのデータを分析に活用し、各メールを開封/未開封、クリック/非クリックした人別にクロス集計を行います。性別や年齢などの属性と行動ログデータの違いを確認していきます。

集計の作業工程

集計結果を確認する前に、今回の集計作業の工程を簡単に説明します。
今回の分析では、特定のメールを開けた人、クリックした人といった人単位で分析を行うため、会員IDごとに各メールの開封やクリックの状況、各試合への来場の有無などのデータを作成します。
IDごとに作成したデータを顧客マスターデータに紐付け、メールAを開いた人の試合Aへの来場率は〇%、メールAを開かなかった人の試合Aへの来場率は△%といったかたちで集計するといった工程を踏むことになります。

対象となるメール概要

この集計結果では、3つのメールの効果を比較しています。
それぞれのメールの概要は以下のとおりです。

●①前売り価格の訴求メール:前売りでのチケット購入がお得であることを訴求したメール

●②来場時に選手のサイン入りグッズをプレゼントする通知メール:来場すると選手のサイン入りグッズを貰え、対象選手が決定した内容のメール

●③試合前日の来場喚起メール:試合前日の来場喚起メール。前日でも前売り価格で購入できることを訴求。

これらのメールを開封した人、メールに記載されているURLにアクセスした人の特徴を読み解いていきます。

データ分析から見えてくるファインディングス

はじめに、各メールを開封、クリックした人の性年代を分析していきます。

上記数表から、以下の結果が見られます。

●いずれのメールにおいても開封率が高いのは、男性30-50代です。

メールに記載されたURLをクリックする率が高い層は、

●①の前売りの価格訴求は、男女60代以上の高齢層がやや高め。

●②サイン入りグッズプレゼントメールは、女性の30-50代

●③試合前日の来場喚起メールは、男性40代、性別年齢不明がやや高い。

続いて、会員種別、直近試合の来場率、当該試合の来場率、シーズン通算の来場回数の傾向を見ていきます。

上記数表から、以下の結果が見られます。

●①のメールでURLのクリック率が比較的高いのは来場回数2~4回のミドル層です。

●②のメールで開封率、クリック率のいずれも高いのはゴールド会員や直近試合の来場率が高いユーザーです。シーズン通算の来場回数が多いチームへの関与やロイヤルティが高いユーザーが反応していると推測できます。

●③のメールで開封率、クリック率のいずれも高いのはシーズン通算の来場がない層や、来場回数1回のユーザー、直近のA・Bの試合の来場が少ない層になります。

解説した2つのクロス集計の結果をまとめると、①~③のメール全体では男性30~50代がメールを開封しやすい傾向にあります。

それぞれのメールにおける傾向は以下の通りです。

●①前売り価格の訴求メール:男女60代以上でシーズン通算の来場回数が2~4回程度のミドル層においてURLのクリック率が高い。

●②来場時に選手のサイン入りグッズプレゼント:女性30-50代でゴールド会員、試合への来場頻度が高い層に選手のサイン入りグッズが響く。

●③試合前日の来場喚起メール:男性40代を中心に来場回数が少ない層が反応。

このように、同じ試合へのメールマガジンにおいても、反応する層が異なることが分かりました。
これらの結果から、次のような仮説や施策が考えられます。

データ分析から見えてくる仮説と施策

・②のメールに反応している毎試合来場するロイヤルティ層は、チケットの購入や来場が習慣化している可能性があります。
そのため、選手のサイン入りグッズなど、何か特別な要素に反応する可能性があるという仮説を立てることができます。このようなターゲットに対しては、選手との交流イベントの開催、会場限定グッズの販売、来場回数に応じたポイントサービスなど、チームへの愛着を深める施策を提供することが有効と考えられます。
・来場回数が2~4回程度のミドル層は①のメールへの反応は良好です。
そのため、試合の日程を早めに告知することで、来場率を向上させる可能性があります。試合への来場の要因として他の予定との調整が必要である可能性もあるため、前もっての告知は効果的でしょう。
・③のメールに反応する直近の試合やシーズン全体での来場試合数が少ない顧客は、来場へのハードルが比較的高いと考えられます。
そのため、試合直前までの告知やPRを粘り強く行い、様々な視点から訴求することで来場の可能性を高めることが必要です。試合直近のメールだけでなく、①や②のメールにも来場のきっかけとなる要素を取り入れることを検討しましょう。

まとめ

この記事では、顧客情報や行動データを用いてメールマガジンの効果を分析した事例を紹介しました。
詳細にターゲティングされたメールの配信では、開封率やクリック率だけでもその効果を検証できます。
しかし、ターゲットが広範囲にわたる場合、開封率やクリック率だけでは効果の検証は難しくなります。そのような場合でも、今回の事例のように顧客情報や行動データなどを紐づけることで、メールマガジンの効果をより詳細に理解することが可能です。
初めは簡単な分析から始めてみてはいかがでしょうか?

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