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2023.06.07
データ利活用ファンマーケティングにおけるデータ活用事例
ファンビジネスのマーケティング担当者の方で、「データは取得できているがうまく活用できていない」「感や経験ではなくデータに基づいた施策やアクションを実施したい」といった悩みはありませんか。本記事ではプロサッカーチームにおけるファンマーケティング事例を、データ分析のやり方から施策の考え方までをダミーデータを使って具体的に説明します。

顧客管理や商品発送のために様々なデータは取得できているが分析や活用の方法を知りたい。他の企業でのデータを活用した具体的に知りたいという方は是非参考にしてみてください。
この記事でわかること
ファンマーケティングのデータを初めて活用する際のステップとポイントを簡単にまとめます。
・取得できているデータから仮説をもって全体像を把握することを意識しましょう。
・分析の結果は、ターゲット層と全体や他の層との差が大きい項目から特徴を把握します。
・施策の考えた方はターゲット層の特徴から身近な人などをイメージし、その人に効果的な施策やアクションを考えてみましょう。
目次
ファンマーケティングにおけるデータ分析とは
企業が提供する製品やサービス、イベント等に対する顧客の行動・趣向などのデータを収集・分析し、より効果的なマーケティング戦略を立案するためのプロセスの一部です。データ分析に基づいたマーケティング戦略を立てることにより、パーソナライズされたサービスの提供やキャンペーン施策が可能になります。その結果、顧客満足度の向上と長期的な顧客ロイヤルティを確立します。
ファンマーケティングでのデータ分析事例の紹介
弊社ではサッカーや野球、バスケットボール、ラグビーなどのプロチームのファンマーケティングにおいて、多数のデータ分析を担当してきました。今回は、プロサッカーチームのダミーデータを使って簡単な事例を紹介します。

データ分析の課題と目的
このチームでは顧客管理や商品発送のために様々なデータは取得ができていました。しかし、これらのデータは売上把握などに限られ、マーケティングへの活用は行われていませんでした。
今回ご相談を頂いた目的は、これまで活用できていなかったデータを活用しデータから客観的に顧客を理解することです。顧客の理解を促進し、これまで担当者の勘や経験で行われていたマーケティング施策の効率や精度をアップすることを目指します。
※データ分析の結果はダミーデータのため、実際のデータとは異なります。また、施策も実際に実施したものではないことをご了承ください。
今回ご紹介するのは、顧客の全体像を理解するためのデータ分析プロセスの一部で、 初めのステップとして難しい手法や技術を使わずに実施した事例です。
データ分析のプロセス
ここからは、以下のデータをもとに顧客属性の分析を行い、マーケティング戦略に役立てる方法について解説します。
●顧客ID
●性別
●年代
●居住地域
●各試合への来場有無
●ファンクラブのランク
これらのデータだけでは顧客の特徴を十分に理解することが難しいように感じるかもしれません。しかし、意外にも多くの情報が得られるものです。
例えば、各試合の来場有無のデータをもとに、今シーズンの来場回数データを生成することができます。また、個々の試合に来場した顧客の属性や特徴を分析することで、各試合における施策やプロモーションが効果的に働いたターゲット層を明らかにすることができます。これにより、今後のマーケティング戦略の見直しや向上に繋がります。
これらをデータから検証するためには、それぞれのデータを単純に集計することに加えて、性年代別や居住地、実施したプロモーションのターゲット別にクロス集計を行います。この結果を読み解くことで顧客の特性を詳細に把握することが可能です。
次の章ではクロス集計の結果からファインディングスを明らかにしていきます。
データ分析から見えてくるファインディングス
クロス集計の結果から、顧客の全体像を明らかにしていきましょう。



※エリアA→Fの順でスタジアムから遠いエリアになります。
以下①~③はクロス集計の結果から読取ったファインディングスになります。
クロス集計表の①~③の数字と下記の①~③のファインディングスが対応しています。
① 全試合の全試合の来場者の性年代別の内訳をみると、40代以上の男性と50代以上の女性の来場が多いことが分かりました。サッカーの試合には若い世代が集まるイメージがありますが、今回対象の地方チームでは熱心な年配ファンが多くスタジアムに足を運んでいることがデータから確認できます。
② 各試合の属性を詳細に分析すると、子供向けの施策を実施した試合(試合_休日1)では、30~40代の親世代の来場者も増加していることがわかります。子供(特に小学生の低学年以下)が1人で来場することが難しいため、親世代の有料来場者が同時に増えるという結果が見て取れます。
③ 平日の試合には、来場頻度が高いコアファンが多く、スタジアム周辺の居住エリアからの来場者が目立ちます。平日試合では仕事をしている方々の来場が難しく、また遠方からのアクセスもハードルが高いことから、コアファンの比率が高くなったことが想像できます。
今回は非常に簡単な例でしたが、このような分析を行うことで顧客の特徴や傾向を把握し、今後のマーケティング施策に役立てることができます。
続いてこのファインディングスから考えられる具体的なマーケティング施策をご紹介いたします。
データ分析の結果を活用した具体的なファンマーケティング施策案
上記の分析結果をもとに、以下のような施策を考えてみました。
施策を考えるポイントはファインディングからターゲットとなる顧客の特性をイメージすることです。
①~③のそれぞれのターゲット層の来場が促進されそうなアイデアを考えてみましょう。
① 40代以上の男性や50代以上の女性を対象とした特別なプロモーションやイベントを開催することで、ターゲット層の関心を引き上げます。具体的な方法としては、地元のタレントを招いたイベントを開催したり、レジェンド選手による写真展・サイン会を設けたりすることが考えられます。また、高齢者向けのプレミアムシート販売も効果的な可能性があります。
② 子供向けの施策を実施する際には、親世代への配慮も含めたプログラムを企画し、家族全員が楽しめる環境を作ることで、家族連れの来場を促します。具体的には、ファミリーセット割引チケットの販売を行ったり、子供向けイベントと同時に親世代が喜ぶプレゼントを提供したりすることが効果的であると考えられます。
③ 平日の試合では、コアファン向けの特典やサービスを提供することが考えられます。また、試合開始時間の来場を促す施策として試合開始後に入場すると割引になるチケットが有効です。さらに、遠方からの来場を促進する施策として帰りが楽になる直行バスとのセットチケットを提供することも考えられるでしょう。
まとめ
この記事では、ファンマーケティングにおけるデータ分析の基本的な方法と、その結果からの施策の考え方を紹介しました。すでに取得しているデータをマーケティング施策に活用すると、これまでの勘や経験に頼るよりも効果的な施策が実施可能です。ぜひ、簡単な分析から始めてみてはいかがでしょうか。
サービスのご紹介

顧客のデータが蓄積されてさえいれば、データの前処理や加工を行いクロス集計することでデータを俯瞰してみることが可能になります。集計結果の読取り方が分からない。性年代、年収など様々な視点で特徴を把握することが難しい、もしくは他の業務があって時間が確保できない。といった悩みを抱えている人も多いと思います。
データの相談室では、「顧客の中身 みえるくん」というサービスを展開しており、お客様のデータを預かりスピーディーで安価にクロス集計をすることが可能です。
また、お客様に寄り添い課題のヒアリングから課題解決に必要なデータ分析のご提案、分析結果を活かした施策アイデアのディスカッションなど、課題解決のお手伝いをいたします。
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