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2023.11.14

サービス紹介

共分散構造分析によるオンライン・オフライン広告の統合的な効果検証

今回の記事のテーマは、オンライン、オフラインの広告の効果の関係性の把握です。

Web広告の効果は、クリック数やPV数を元に容易に把握できます。しかし、TVCMや屋外広告などオフラインの効果測定には課題があります。また、動画広告など、直接のコンバージョンに結びつきにくいWeb広告も存在します。
広告の役割はコンバージョンなどの刈り取りだけなく、認知や興味喚起、購入意向の向上など心理面の変化への役割もあります。
この記事では、間接的な効果や影響の測定について、1つの解決案を提供したいと思います。

各メディアの影響を総合的に把握する

この記事では、TVCMなど直接コンバージョンや刈り取りに繋がらないものに加えて、メルマガ、web広告など異なるメディアの影響を一元的に可視化する方法として、共分散構造分析を取り上げます。

共分散構造分析とは?

複数の要因と結果の複雑な関係を同時に評価する統計手法です。この分析では、変数間の因果関係を下記の図のように「パス図」という矢印で結ばれた図で視覚的に表現します。

この手法の特長は、直接的なコンバージョンなどのKGIだけでなく中間指標との関係も同時に分析できる点です。

具体的には、デジタル広告は直接のコンバージョン効果を数値化できますが、TVCMや屋外広告は自社サイトのPV数増加などの間接的な効果が期待されます。
共分散構造分析を使用することで、これらの広告の間接的な効果や関連の強さを明確にし、各広告施策の実際の価値を理解することができます。

効果測定の手順

共分散構造分析では次のようなデータを準備して効果測定を行います。
モデルの精度を高めるためには、中間指標やKGIに影響を及ぼす可能性のある説明変数を十分に取り入れることが重要です。中間指標やKGIを説明変数で表現することが目的のため、説明要因が不足するとモデルの説明力が低下する可能性があります。

パス図の作成

共分散構造分析のパス図(変数間の線のつなぎ方)は分析者が自由に作成することができます。
データから読取れる変数間の関係から考える場合や、ドメイン知識を活かして作成することも可能です。

例えば、広告施策の関係性をモデル化する場合のモデルの作成の流れを説明していきます。
各メディアの特徴や仮説を洗い出し、それぞれの関係性を考えてみましょう。

メルマガ:メルマガではアプリ経由での商品割引の訴求をしているためアプリとECサイトへの誘因を増やす効果がある。
バナー広告:セールの告知をしており、来店数やECサイトの誘因が増える。
TVCM:新発売の告知をしているため、製品紹介をしている自社HPとアプリのPVが増える。

続いて、顧客の購買までのジャーニーを考え、以下のような関係性の仮説を立てます。

■仮説■
●HPやアプリのPVが増えるとECサイトのPVが増える。
●来店数やECサイトのPVが増えると売上が増える。

今回は、広告のメディアや中間指標やKGIが少ない簡単な例ではありますが、このような形でパス図を考えると、次のようなパス図が出来上がります。

パス図からの結果の解釈

実際にダミーデータではありますが分析を行った結果を共有します。
変数と変数をつないだ箇所の数値(パス係数と言います)は関係性の強さを表現しています。
この結果から当初の仮説から以下の点が異なることが分かります。

■結果の解釈■
●バナー広告から来店数への効果は少ない。
●メルマガはアプリの流入は増やすがECサイトへの流入の影響は少ない。

それ以外のパス係数が高い値を示しており、想定通りの部分が多いです。ただ、実際の例で最初の案のパス図がこれほどうまく行くことは稀です。
通常の分析では、データ同士の関係性やデータの意味、生活者のジャーニーを考慮しながらパス図の作成と分析を繰り返し納得感が高いものを完成させます。

アウトプットからわかること

パス図の結果から、それぞれの広告やメディアとアプリやHPのアクセス数、売上の関係が明らかになりました。
このアウトプットから次のような課題や問題点の解消につながる可能性があります。

●刈り取りに繋がらないTVCMなどの間接的な効果が明らかになる。

●効果がある施策が明確になることで、広告予算の最適な配分を行うことができるようになる。

●各施策の効果やKPIとKGIの関係性を把握することで、効果的な施策の改善や新しい施策の開発につなげることができる。

●データに基づく明確な分析結果が出ることで、広告の効果をステークホルダーや上層部への報告が容易になる。

まとめ

今回は、共分散構造分析を用いてオンライン・オフラインの広告の間接的な効果やその関係性を評価することができることを紹介しました。
特に、直接のコンバージョンに繋がらない広告でも間接的な効果や影響を数値化し、実際の価値を確認することができます。

この方法を活用することで、広告の効果測定だけでなく施策の最適化や予算配分の見直し、新しい施策の開発など、より効果的なマーケティング活動を展開することができます。
また、データを活用した広告の効果評価は、広告活動の評価や報告をスムーズにし、より効果的な意思決定をサポートします。

わが社では、このような分析サービスを提供しております。広告の効果を最大限に引き出すための分析や、具体的な施策の提案など、お客様のニーズに合わせたサービスをご提供いたします。
より効果的なマーケティング活動を展開したいと考える企業様は、お気軽にご相談ください。

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